プロボウラー
プロインストラクター 谷 敬詞
■2007年プロボウラー資格試験合格
■日本プロボウリング協会インストラター
A 級
■全日本ボウリング協会公認ドリラー
十人いれば十人の考え方・体力・運動能力があります。まさに十人十色です。これはボウリングに限って言えることではありませんが、その十人十色に対してはやはり十色の教え方が必要だと考えています。もちろんある程度のグループ化はできますが、人により時間的や体力的などのそれぞれの制約がありますから結果的に同じ教え方は無いに等しいと考えます。
ボウリングという範疇で考えるなら、基本的な動作は、結局、物理的に合理的な動作になります。上手い人の投球を見て、なんか楽にしかもスムーズに投げているなと感じられたことはありませんか?これを分析してみると結局合理的な投げ方を自然に自分の体で再現しているにすぎません。しかも再現の方法も様々ですが、ちょっと回りくどい言い方をすると、体の中の特に足、腰、腕、手首、指などの自由度のある部分をうまく組み合わせ、ボールに目的に応じたエネルギーを必要最小限の動作で与えてやること ですね。
なにかめんどくさい表現をしているように感じられますが、逆に言えば、足、腰、腕、手首、指などの自由度のある部分を一つ一つ分析し、ある一定の範囲でその人が再現し易いように仕向けること。ただしすべての部分において一度に理想的な動きを求めることは困難なので、一番プライオリティの高い部分、もしくは効果の大きい部分から修正していくこと。その時に、「こうだからこうなる」という理論説明も行い、理解を深めてもらうこと。これが私のスタンスです。
ボウリングにはもうひとつやっかいなことがあります。投げ方はできても点数はあがりません。そこがまたボウリングの醍醐味ですが、レーンとの戦いというのがあります。
ボウリングのレーンにはオイルがひいてあります。当初はレーン表面の保護のためだったのですが、そのオイルのひき方でボールの動きが変わります。当然オイルのあるところではボールは滑ります。オイルが無いとボールの回転方向に動きます。しかもオイルはずっとあるとは限りません。転がっていくボールに付着して転がった部分のオイルが少しずつ無くなり、またボールについたオイルが今まで無かったところにハンコを押すように跡を残します。オイルのひき方をオイルパターンと言っていますが、これが生き物のように変化していきます。そこをどうやって攻めていくのか?攻めればよいのか。「ああややこしや」です。
このようにボウリングには投げ方と攻め方がありそれぞれののインストラクティングあるいはコーチングがあるのですが私にはさらにもうひとつ重要なポイントとしてその投げ方や攻め方に応じたドリルの必要性を感じています。
ドリルとは、ボールの指穴をあけることですが、穴の開け方で指からボールへのエネルギーの伝わり方も変わってきます。しかもここは投げ手(ボウラー)の感性の部分も大きく作用するので、そのボウラーからのヒアリングも重要な要素となります。ボウラーを見ずに標準的なドリルをすることも当然できますが、これはビギナーのみに適用できるものであって、フォームがかたまり始めた中級者以上の方にはご自身にあったドリラー(ボールに穴をあける人)を見つける事も上達の近道と言えるでしょう。またフォーム矯正のための一時的なドリルレイアウトも有り得ますので、そのあたりも含めて相談できるドリラーの存在は大きいと思います。先にも述べましたが、このドリルは感性が伴います。ドリラーよってもその方の理論や個性もあり、それがボウラーにフィットするかどうかは本人の感覚ですのでご自身にあったドリラーはご自身で見つけることをお勧めします。